「新しい戦前にさせない」シンポ 第6回
「マイナ保険証」はいらない~徹底解明マイナンバー(共通番号)制度「マイナ保険証」はいらない!の声、全国に広げよう!
今回のシンポは、岸田政権支持率に大きな影響を与えた「マイナ保険証」をはじめとしたマイナンバー制度の問題噴出を徹底解明する趣旨で企画した。ポイントは、日常生活に大きな影響をもたらす無謀な政策を取った政権のお粗末さを各分野から明らかにすることだ。
住基ネットの時(1999年~2003年)は、「自治事務」ということで市区町村長による反対の力が世論を動かすひとつの要因になった。しかし、今回の「番号法」では「法定受託事務」と強引に設定、自治体の独自判断を抑え込んだ。それでも、一連の問題現出について、総務省やデジタル庁は自治体への総点検など、過剰な対応を強行している中で、自治体側の対応を知りたいと、多摩市長(写真)にコメントをお願いした。
また、健康保険と介護保険分野でどういう受けとめがされているか、その状況の報告を、さらに、市民や議員がどう取り組むかの事例報告をお願いした。会場には120人、YouTubeで200人が視聴した。
<自治体首長として>
国会での法案審議は短時間であっという間に成立したが、自治体議会だったらそうはいかない。民主主義は時間をかけた議論が必要で、安倍内閣は閣議で決めて、どんどん進める。「自治事務」は自治体が決め、議会に諮り、進める。
国民皆保険制度ではこれまで大きな問題はなかった。今回のことは、そもそも国自身が精査し、自治体任せにすべきでない。それでも一応点検して問題ないと報告した。ところがその後にデジタル庁から「総点検マニュアルを作成したので、それに沿った対応を」という「通知」が来た。ということはこの後に問題が起こったら、それは自治体の責任というわけだ。でも、総点検をするには莫大な時間と人手を要し、とても出来るものではない。でも、そうせざるを得ない状況に追い込まれている。
議会には「マイナンバー問題の多くは国の責任」と答弁している。さらに「今ある健康保険証も生かすのも一案」とも答弁し、任意であるマイナ保険証は立ち止まって見直すことだ。
<医療の現場から>
政府はオンライン資格確認を今年4月から義務化し、従わない医療機関は保険医資格をはく奪という強行政策を取っている。マイナ保険証のメリットを大体的に宣伝しているが、医療現場は大混乱しトラブルが続出している。総点検で既定路線通り進めると言い張っている。
メリットと言われる中身も精査するとまやかしばかり。診察データがアップされるのは1か月以上先なのに、データベースで的確な診察や処方が出来るというが、医師はその場で患者と向き合い、診察、検査などをしている。
さらに問題なのは「医療DX(デジタルトランスインフォメーション)」で、これは市民の健康のためというより、医療情報を収集、利活用し、企業をもうけさせる狙いが濃厚だ。国民の健康増進をというなら、むしろ医療DXを中止し、個人情報収集・利用のあり方はどうあるべきかの原点から見直すことが大切だ。
<介護の現場から>
介護を担うのは、家族と介護事業者、介護労働者だが、マイナ保険証はことごとく現場を無視したものになっている。保険証を管理するのは、本人、同居家族、ケアマネージャ、訪問ヘルパー、後見人。さらに施設での保管、管理は人手不足などからとても無理。
高齢化率は3人にひとり、うち75歳以上が半数を超え、在宅要介護者の3割以上が独居。認知症有病者が700万人、ピーク時には1千万人を超える。さらに介護サービスは極端な人手不足で「決壊」寸前で、「昭和な人」が政策決定するという現実、現場無視がマイナ保険証だ。
<ではどう取り組むか>
市民として、積極的に自治体や議会に要請書や陳情を出す取り組みをしよう、ということで、事例を紹介した。
また、メディアによる全国調査では、マイナンバーカード関連事務の負担感について、89%が「重い」「やや重い」と回答している。保険証廃止については「賛成」が29%、廃止の延期あるいは撤回は43%になっている。また、高齢化率が高い市区町村ほど延期、撤回の声が高くなっている。
今回のシンポは、岸田政権が市民の日常生活を直撃したことで、政権支持率の激下げに繋がったことを明らかにすることが出来た。そして「マイナ保険証」の強制をさせず、これまでの保険証を残す全国運動が必要であり、野党各党や自治体議員が重要課題として取り組むことを呼びかけたい。(文:発起人・白石孝)
→発言者の資料はこちらにアップしました。
8日11日(金・休)午後1時30分から、文京区民センター2A会議室で「いのちの安全保障、非正規社会からの脱却」のための「共同テーブル」シンポ「新しい戦前にさせない」第5回「軍拡と『ゾンビ家制度』の罠」を開催した。
軍拡を「狭い意味の政治や軍事」からでなく、「生活や性差別」から解き明かすことで、それがよそ事でも遠い未来の話でもないことを共有していただき、みんなで一緒に怒っていきたい(竹信三恵子さん)という趣旨で、結構チャレンジングな企画だ。
竹信さんのレクで印象に残ったのは、戦争時の軍事費が国家財政に占める割合というデータで、戦前1924年(大正13年)は29.6%だったのが、1944年は85.3%に達していたこと。これじゃあ、社会保障も教育もなんも無いに等しい。こういった背景に、日本の「家」制度があり、それが大きく機能した。
「武器取引反対ネットワーク」の杉原浩司さんは、大軍拡時代で、23年度予算での軍事予算が26%の伸びで、米中を大きく上回る異常さ、軍需産業強化法、軍拡予算確保法などがあっという間に成立、に対して「武器より暮らしを」と訴えた。
杉浦ひとみ弁護士は、1947年民法改正で「家」制度が廃止されたが、選択的夫婦別姓制度が法制化されず、性的マイノリティ、同性婚などが実現しないのは、「日本社会に個人の尊重、男女平等を妨げる力が存在している」と指摘、「ゾンビな家制度」をなくそうと。
雨宮処凛さんは、コロナ禍の生活困窮相談会や食糧配布などで、若年化と女性比率が増加している、と報告。
目からうろこが、古今亭菊千代師匠の、落語と国策。戦争に加担、協力した歴史と、女性落語家が登場してきたこと、などを、落語世界の事例を通して紹介された。戦時中の「厚生省」が「結婚10訓」を発表していたそうだが、その原型が「ナチスの10か条」という。「一生の伴侶」「健康証明書を交わす」「悪い遺伝の無い人を選べ」「父母長上に従う」「産めよ増やせよ国のため」など。 会場参加者は登壇者、スタッフを含め150人、YouTubeでの同時視聴は300人(その後アーカイブ視聴では、13日午前で1230人ほど)。いつもとは異なる「客層」も加わり、開催の趣旨はある程度果たせたと思う。
次回は、9月12日(火)午後6時30分~文京区民センター2Aで「マイナ保険証はいらない~徹底検証マイナンバー制度」
(白石孝「共同テーブル」発起人)
「共同テーブル近畿」主催 「沖縄戦から78年 たたかう人びとに学ぶ6・11集会」 大阪のPLP会館で 開催
普天間基地のある宜野湾市で生活されていた(現在はパートナーさんの転勤の都合で関東在住)明有希子さんを会場にお招きした他、沖縄国際大学の前泊博盛先生にZoom出演して頂きました。70人以上の方が参加され、過重な米軍基地負担に加え、国の大軍拡政策によりさらに戦争準備が加速されている沖縄で暮らす人の生の声を聴く大切な学びの場となりました。
明さんは、「米軍基地のそばで暮らすということ」の表題で講演されました。普天間基地のすぐそばで暮らし、2017年に米軍機の部品が落とされた緑ヶ丘保育園に娘さんを通わせていらっしゃった明さん。子どもたちの命を守るために声を上げ、学校・保育園等の上空での米軍機の飛行をやめるよう求めただけなのに、国に十分な対応を取って貰えない(校内にシェルターを作り、子どもたちを避難させる程度)ばかりか、ネット上では「自作自演」「危険だと判っている保育園に子どもを入れたのが悪い」といったデマやバッシングに曝されたとのことです。
「何故被害を受けた沖縄がデマや誹謗中傷に曝されないといけないのか」との明さんの問いかけによって、政府だけでなく、一般市民も沖縄差別の加害者になっている現状の問題が突き付けられました。
沖縄県外に暮らす人々は、ついつい「沖縄頑張れ」「沖縄県はもっとしっかり国と闘え」といった言葉を投げてしまいがちです。そんな無責任な言葉に対し、明さんは「沖縄は既に頑張っている」と反論します。日本全国の米軍専用施設の7割を沖縄に押しつけている状態を作ってきた沖縄県外の日本人こそ、沖縄の過剰な軍事負担を解決する責任を負わなければならない。これは、私たち運動体の側もしっかり向き合うべき課題だと思います。
沖縄のみならず、全国の基地周辺自治体で問題になっているPFASによる水汚染問題や、那覇軍港移設に伴う浦添西海岸埋め立てについてのお話もありました。基地が押しつけられ続けることで、人々の命や暮らしの基礎である水や地域の貴重な環境まで壊されていく。「基地のすぐそばで子育てをしてきた女性」として感じたことを盛り込んだ明さんの講演は、従来の軍事・安全保障関連の講演会・学習会とは違った視点を持っていたように思います。
前泊先生は、「沖縄からこの国の民主主義を考える」という表題で講演されました。 沖縄から見れば日本は民主主義国家・主権国家とは到底言えない。そのことを、膨大な資料を基に説明して下さいました。
地位協定すら変えない。有権者に何ら説明もしないまま、アメリカの対中戦争政策に相乗りする。米軍がアジアから引き揚げようとすれば、自前の軍事力が必要だと言って、アメリカから武器を買う。米軍の訓練施設の整備やPFASの除去にまで日本政府が金を出す。こんな状況に、多くの日本人が傍観者的であることがとりわけ問題と指摘されました。「傍観者的国防論」を「主権者的非戦論」に変えるため、私たちも今国が何をしようとしているかもっと勉強し、論理的に対抗していかねばならないな、と身が引き締まりました。
関西は米軍専用施設も殆どなく、基地が生活上の脅威になると言うことを実感しづらいのは事実です。まずはこのような学びの場を設けて沖縄との感覚の差をしっかり見つめ、自分たちに出来ることを模索していきたいです。今回は時間の関係で、十分な質疑応答や討議が出来ませんでしたが、これからは沖縄のこと、大軍拡のことについて、関西でどのような運動を作っていくのか議論する場も作る必要があると思います。
共同テーブル近畿は、地域の課題に取り組むだけでなく、沖縄のような国政の横暴や差別政策にとりわけ曝されている場所で起こされている問題にもしっかりと目を向けていきたいです。特に女性・生活者・マイノリティの生の声を聴く場を積極的に作り、これまでの運動が取りこぼしてきた人たちを包み込めるような新たな運動を組み立てていくことを目指したいです。(「共同テーブル・近畿」西尾慧吾
)
共同テーブル近畿主催の「大軍拡への暴走を許すな!近畿集会」が2月23日、大阪のPLP会館で開催され約100人が参加、新たな戦前にさせない運動の強化が誓い合われた。
集会は、呼びかけ人の池田直樹弁護士の主催者あいさつではじまり、纐纈厚さんの講演、与那国島の山田和幸さんの現地報告と提起、フリージャーナリストの西谷文和さんのコーディネートによるパネルディスカッション(上記2人の講師と木戸衛一大阪大学教授、大野京子I女性会議奈良事務局次長)が行われた。
集会の最後に、服部社民党幹事長の「東京と連携し運動の強化を」との集約が行われた。
<報告と感想>「最大の貿易国・中国相手に戦争をするのだろうか」 発起人・白石孝
タイムキーパーを仰せつかっていたので、シンポを詳細にメモ出来ていないので、特に印象に残ったものから記しておきたい。内容充実のシンポなので、興味を持たれた方は、YouTube動画をご覧ください。一気に見られなくても、パートごとに分割しても見られます。
さて、まずはタイトル。「新しい戦前にさせない」「戦争が廊下の奥に立ってゐた」。とても印象に残る。次は、小室等さん、小室ゆいさんの歌と佐高信さんの掛け合い。小室さんは、かつて(多分)べ平連の吉川勇一さんが谷川俊太郎さんに声をかけて書いた「おしっこ」(曲:小室等)をゆいさんと歌い、そして谷川さんの「死んだ男の残したものは」(曲:武満徹)を披露し、会場に深い感動をもたらした。「音楽の力はすごい」を改めて感じさせた場面だ。
その小室さんに声をかけた佐高さんも次の出版が『反戦川柳人 鶴彬の獄死』(3月刊、集英社新書)ということもあり、会場に来ていたレイバーネット川柳班の乱鬼龍さん作も引用するなど、反戦、平和などの取り組みに文化は欠かせないものと印象付けた。
そして後半の清水雅彦さん、纐纈厚さん、福島みずほさん、山城博治さんによるシンポの中での山城博治さんの言葉。与那国町の町長は、有事に際しての守りは必要と、自衛隊を誘致し、さらに不安を持つ島民には「有事が心配なら島から出て行ってもいいよ。補助金も出す」と言っているが、「島から出てどこへ行ったらいいのか、生活も出来ない」から、出て行くわけはない、という。
誘致に賛成した島民の多くは、自衛隊が来れば人口も増えるし、経済も潤うという動機だったろうが、まさかミサイルが来るとは。現に石垣市議会も「ミサイル配備反対意見書」を採択している。宮古・八重山はじめ南西諸島有事の現地リアルを熱く語られた。
シンポは、纐纈厚さんの「安保三文書」批判と「いのちの安全保障」政策提言、清水雅彦さんの「安保関連3文書」、特に「反撃能力」論の内容と問題点も、聞きごたえある提言で、後半70分のシンポも充実していた。
なお、私的意見だが、これらに加え、経済や生活領域に関わるコメントや提言が加わると、さらに理解や共感が拡がると思った。日本の輸出入対象国のランク1位は中国だ。2020年統計では、1位中国325,898億円 (23.9%)、2位アメリカ/ 200,644億円 (14.7%)となっている。20年前の2000年は、1位アメリカ 231,347億円 (25.0%)、2位中国 92,158億円
(10.0%)だから、完全に入れ替わっている。
その中国相手に、日本は戦争をするのだろうか。加えて、輸出入が止まれば、食糧自給率が圧倒的に低い日本の食生活に大きな影響が出ること必須だ。魚介類・同調製品、果実及び野菜がそれぞれ全体の約3分の1を占め、スーパーの鮮魚・青果コーナーでも中国産ラベルが目立っている。肉類・同調製品を加えると、アメリカ産と並ぶほど多い。冷凍食品も多岐にわたり、外食産業では圧倒的に中国産が使用されている。100円ショップなど商品棚を見れば分かる。
機会があれば、経済や料理の専門家を講師に迎えるのはどうか。社会全般にアピールするには、分かりやすい内容になると思う。
【発起人代表あいさつ:佐高 信】
参議院選は憲法がかかった選挙だ。
ウクライナが問題になっているが、我が国にとっては憲法作成に貢献したシロタベアテ・ゴードンさんの両親がウクライナ人で縁がある。
ベアテさんは「日本人というのは、本質的に封建民族だと私は思う。権力者の命令ならば、たとえ気が進まなくとも実行する。戦争の末期に、特攻隊の志願者を募った時、そのほとんどの若者は死にたくなかったのが本音だったと思う。でも、一歩前に出る勇気よりも、一歩前に出ない勇気の方が日本では難しい」という。
たしかに犠牲的精神にヒロイズムを感じ、「人権」をいうことがわがままと捉えてしまう。しかし、日本人にもそうでない者たちがいることを示そう。
【基調講演:中野 晃一上智大学教授】
1.選挙について~長期的な視野と分析を持って忍耐強く
野党共闘は必要だ。なかなか成果が出ずに苦しく「賽の河原の石積み」だと思うが、共同で一緒にやっていけるところまでやろう。これまでも、与党に行きそうな議員を国会前に呼び出し、民衆の声を聞かせてきた。衆院選後、国民民主や連合などの態度には、納得いかないが、切って捨てるのではなく、こちらに引き寄せる努力が必要だ。
喫緊の課題の改憲を考えると、来年の統一地方選もあるので、拙速にはできないはず。また岸田首相も任期は2024年9月までで、そこまでに党内での勢力を拡大する(選挙の)機会もないので、自ずと判断にも限界がある。改憲を試みるなら統一地方選の直後からアクセルを踏むしかない。
2.ウクライナ問題
テレビでは防衛関係の専門家ばかりの発言が目立ち、素朴な武力主義がつたえられ、茶の間で戦い方のレクチャーを受ける異常さだ。安全保障のジレンマ(註1)、抑止論のデタラメさに気づくべきで、「日本も武装すると安心になる」という考えを正すこと。同盟のベネフィットとコストを考えること。(アメリカとの)同盟を強めることも危険である。
現実にはウクライナで起きたことが東アジアでも起こるとは考えにくい。中国も今回のロシアへの制裁を見ているから、台湾への介入は安易には考えないはず。マッドマンセオリー(註2)で、地べたを這いつくばって平和外交を目指すしかない。
3.運動論
ここにいない人たちに伝えること。「外へ外へ」と広げること。2015年の安保法制で闘ったときの運動をもう一度。
〈註1〉安全保障のジレンマ 軍備増強や同盟締結など自国の安全を高めようと意図した国家の行動が、別の国家に類似の措置を促し、実際には双方とも衝突を欲していないにも関わらず、結果的に衝突に繋がる緊張の増加を生み出してしまう状況を指す。
〈註2〉マッドマン・セオリー(狂人理論)チキンゲームに強いのは誰かという時に、相手が普通の人間だったら多分逃げるだろうと考えられるが、相手が頭がおかしいマッドマンで、合理的な考え方ができない人間であれば、何も考えずに突っ込んで来るかも知れない。つまり、相手がマッドマンなら逃げるしかないというのがこのセオリー。このゲームで一番強いのは「マッドマン」ということになる。 (文・杉浦ひとみ)
【第1部:発起人によるパネルディスカッション】
1.竹信 三恵子
身近な生活には貧しいことが多いがこれも憲法につながっている。
憲法に軍隊の存在が書き込まれれば軍事費は膨大になる。アメリカに言われても、9条があれば拒否できたが、軍備の拡大や出兵も拒めなくなる。軍備は金食い虫の放蕩息子。生活に金を回すべき。ゼレンスキーも日本の9条の存在を知っており、国会議員に武器の供与を頼まなかった。9条は役に立っている。
2.山城 博治
沖縄の現状は、沖縄を含む南西諸島(馬毛島から台湾に至る列島)がミサイル基地にされ、攻撃対象の最前線にもなっている。アメリカは遠くにいて指示するのみ。核兵器も日本に持ち込むことは想定できる。
安倍元首相発言の意味は、過激な発言をする-世間が騒ぐ-収まる、これを繰り返すうちに、世間の思考が右へ右へと動かされていく。これに乗せられる指導者と考えなく情報を流すマスコミ。中国脅威、ロシア脅威という洪水のような世論が一番怖い。「アメリカからは離れろ」といいたい。沖縄県内でも必ずしも強い発信がされる訳ではないが、私たちは沖縄を二度と戦場にするなと声を上げ続ける。
3.纐纈 厚
3人の発言から。共産党志位委員長、攻めてこられたら「自衛隊活用」発言が炎上しているが、「攻められたら」の議論は相手の土俵での議論。攻められたら日本は武器を取らずに逃げるべき。
戦うための軍備を準備するのではなく、戦わないための外交を行うべきである。
安倍元首相の「NATOに入っていないからウクライナは攻められた。だから同盟を強化すべき」というのは、中国脅威論を受けての発言だが、中国が日本を攻めることは考えられない。脅威は軍備投資のための方便。「刃物を研ぎ澄ますより、頭を研ぎ澄ませ」と言いたい。バイデン大統領を始め、米欧諸国も侵略をしてきた。ロシアを人権理事会から排除する資格はない。国連憲章に反したかどうかで判断すべき。
4.前田 朗
まずクイズ、「最初の非武装憲法を持ったのはどこの国か?」(末尾に回答)
9条の平和主義は1946年の制定時のままではなく、2022年の憲法思想で支えられるもの。一つは戦争の教訓は平和政策の強化につながる。参考にすべきは世界に複数ある軍隊のない国(26)。
憲法に軍隊を持たないと謳った国は5か国。うち4か国は現実に軍隊を持たない(持っているのは日本のみである)。そのあり方を学ぶこと。日本の憲法は9条だけではなく「前文」と「軍事的条項を一切書いていない」ことに意義がある。戦争が起きたときに抽象的に国家を守るのではなく、日本国民を守ることを定めているのである。(リヒテンシュタインは、1868年に軍隊放棄、1921年非武装憲法制定) (文・杉浦
ひとみ)
【第2部:参議院選挙を共同でたたかう~私の訴えたいこと】
◇決意表明 福島みずほ参議院議員
今日開催の憲法審査会で、オンライン出席の議論があったが、自民党議員は「改憲だ!」の発言ばかりだった。
生活や雇用を守るのが最優先なのに、自民党は防衛費増額をめざし、新自由主義は労働者や市民の生活を破壊している。
社民党は新社会党のおかざき彩子さん含め6名で比例に臨む。
新たに愛知選挙区での予定候補や岩手県からの比例予定候補も決まった。頑張ります。
◆大椿 ゆうこさん(社民党、非正規からの脱却)
就職氷河期時に社会人となったが、解雇された経験がある。労働運動と出会ったが、「労働者の使い捨てを許さない」を2019選挙で使い、今回も使う。格差と貧困、そして雇用問題を中心に訴える。
私の強みは「労働運動がなければ、非正規労働者は生きて行けない」だ。
全国を回り、「憲法を守る政党として、もっと憲法についてを訴えろ」という多くの声をきいた。社民党は「改憲でなく憲法を生かす政治」をめざす、そのために精いっぱい頑張ります。
◆おかざき 彩子さん(新社会党、ロスジェネ世代の声)
私は1980年生まれ、42歳。生きづらくて引きこもった時期もあったり、職安に通ってもあるのは非正規雇用の仕事ばかりだった。「女性は事務作業でよい」という慣習やパワハラやモロハラも経験した。
常に失業に直面し、低賃金、そして将来の年金にも希望が持てない。「ロスジェネ時代」は今もなお直面している現実。新自由主義のもとでは「競争に勝つのがすべて」「勝ち組になれ」という、雰囲気や価値観がまん延している。
国籍や性別、高齢などを理由にされることなく、人間として生きていける、勝ち組をめざすのではなく、多様な生き方が出来る社会に変えたい。
また、社会の努力を一気に奪うのが戦争で、戦争は絶対に止めるべきだ。私たちは戦争を反省して憲法を作った。ところが「武力による強い国を」という国会議員が多くいる。改憲でなく、ジェンダー平等、持続可能な地球、人間を大切にする社会を作るために頑張ります。
◆村田 峻一さん(社民党、Transgender Japan事務局長)
選挙前に30歳となり、最年少候補者になるだろう。
名古屋大学時代に在日朝鮮人の友人に出会うことから、朝鮮学校無償化裁判支援を愛知で始め
た。さらにLBGTQなどの運動を取り組むことになり、50人も集まればと思っていたのに、500人もの人が集まって、勇気が湧いた。また、昨年、入管法改悪案を止めたけど、10代、20代の若い人たちことに、希望を感じた。
パートナーシップ制度は2015年に渋谷区、世田谷区で始まり、拡がったことは同性婚を望む声が大きかったからだが、まだ全国では208自治体。7年たった今も課題がある。しかし、地方でも動きが出てきており、それをもっと拡げることをめざしたいと思った。憲法はまだ生きている、あらゆる分野で憲法をふまえた運動を進めよう。
◇発起人コメント:伊藤誠(経済学者)
共通するのは「くらしを守る」「いのちを守る」「戦争をやめさせる」という発言だった。その軸に社民党、新社会党がなってほしい。立候補を予定されている皆さんも健康に気を付けて頑張ってほしい。
【閉会挨拶】
◆白石 孝
6月19日投票の杉並区長選挙に岸本聡子さんというベルギー在住の方がチャレンジすることになった。彼女は、公営事業の民営化が蔓延するなかで、再度公営化する動きが欧米などで広がっていることを日本に紹介している、また、EUなどの新自由主義に対抗してイタリアやスペインの自治体で地域主権の政策が広がっていることも紹介している第一人者だ。
こういう方が日本の地域政治に関わることの意味は大きい。地域政治を変え、市民社会運動を広げることが、共同テーブルを発展させることにもなる、数パーセント支持勢力から、韓国のように50%を争う、せめて20%を超える勢力をめざさないと意味がない。もちろん参議院選挙で一票でも支持を拡大することが当面の目標だが、さらに20%以上の支持を得られる政治運動、社会運動をめざしたい。本日の報告者、参加者、スタッフに感謝して終わりたい。(文・白石孝)
*なお、「レイバーネット日本」のサイトに詳しいレポートが掲載されている、
http://www.labornetjp.org/news/2022/0413hokoku
【「共同テーブル」第2回討論集会参加者の感想】
●加藤弘吉(東京青梅市)
攻めない国、攻められない為、東アジア共同体の構築を目指して下さい。イデオロギーではなく、暮らしを守る命を守るために。
本物の立憲野党になるように共闘して下さい。
立憲野党の共闘を行なうための旗印(政策)を明確にしないと支持拡大が難しいのではないか。
日米安保強化ではなく、緩和から見直し解消へ。最終的には東アジア平和共同体圏を目指すべき。
●對馬節子(東京品川区)
4人のパネラー、どの方も大切な事を話して下さいました。
参加して本当によかったです。
ウクライナ戦争で国を守るために戦う国になりかけた日本を、戦わないため全力をつくす国に戻したいと改めて思いました。
●栗城理一(作家)
• 憲法を変えさせること(改憲)だけでなく、憲法を守らせること(活憲)にも力を入れないと、いつかは憲法を変えられてしまう。そのためには、広い意味での教育―具体的には
(1)国民のリテラシーを高める
(2)憲法、法律のもつ意義
(3)民主主義を、結論に到るディベートを含めて、深める
が必要であると思う。「政治」というフィールドでの勝負ではあるが、「教育」というフィールドでもやるべきことはあるように思う。
2,ウクライナの惨状が映像などで伝わっている。これを「非戦」の教宣(→憲法9条まもる)に使えないか。
●鈴井孝雄(静岡県平和センターボランティア・スタッフ)
自衛隊活用論が出されてガッカリしています。「攻められない日本をつくる」、そのとおりだと思いました。
憲法というと「9条」ですが、実は「生活」なのだと改めて思いました。生活を守る、そのために
は人権が守られねばならないし、平和でなければ生活が守れないのだと。竹信さんのお話に賛成です。
立憲も日米同盟堅持、共産は自衛隊活用論を言うようでは、本当に社民党、新社会党に頑張ってもらわねばなりません。立憲にも共産にもない社民・新社の良さを前面に出す。2%の得票は大変ですが、逆に考えれば、たった2%です。頑張りましょう。
●匿名
社民党は眠っていなかったのですね。
一般に広くは知らされていない様々な現場の現実・真実を多くの人が知ることの大切さを感じました。
今後の発展を祈念いたします。
予想を超える充実した集会でした。今後も参加したく思います。
おかざきさん、村田さん、大椿さん方を応援したく思います。
●市原広子
会場からの発言「無条件停戦をすぐに主張すべき」に賛成です。
新社会党と社民党が共同名簿を作れたのは良かったので、それをアピールした方がよいのかどうか。「なんだ、社民と新社かあ」と言われちゃうかもしれないのが心配かなあ。
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1月20日(木)午後2時〜4時40分、衆議院第2議員会館多目的会議室で、第1回「共同テーブル」大討論集会を開催した。会場への参加者は約110人、他にユーチューブ視聴参加者もいた。
冒頭、共同司会者の杉浦ひとみ弁護士が会の進め方についてコメントした。
「時間がかかっても、既存の政党や新しい政党をリードできるような市民運動、政治運動を行うために動かなければならない。緩やかにでも確かに動くプレートのような、広く厚い層をつくって行きたい。当面の喫緊の課題、目標は参議院選挙で成果を上げることだが、そのためにも、地に足をつけた政治運動、社会運動の構築が必須だ。本日は、そのためにしっかり話し合い、変質させられた政治を立て直す具体的な一歩を見つけるための討論会にしたい。」
発起人を代表して佐高信さんがあいさつ、「総選挙後に自民党選対委員長が、『際どい選挙だったが、連合会長が共産党批判したことで危うく勝てた』と発言している。亀井静香は「連合は自民党なんだ」と断定した。連合がそうなり、その連合に野党が振り回されていることに危機感がある。連合を変え、野党も変える運動が必要だ。皆さんの声を聞きながら運動を進めたい。」
発起人を代表して佐高信さんがあいさつ、「総選挙後に自民党選対委員長が、『際どい選挙だったが、連合会長が共産党批判したことで危うく勝てた』と発言している。亀井静香は「連合は自民党なんだ」と断定した。連合がそうなり、その連合に野党が振り回されていることに危機感がある。連合を変え、野党も変える運動が必要だ。皆さんの声を聞きながら運動を進めたい。」
続いて服部良一社民党幹事長から「総選挙後の国会の状況、議員構成、主に維新が増えたことなどから、憲法改定に向けて加速度がつき、危険な状況にある」などの特別報告があった。
特別報告はもうおひとり、大阪から寺本勉さんが「12.24大阪シンポの討論から」と、大阪9区での大椿ゆうこ選挙と大阪維新の異常なほどの「躍進」が報告された。
発起人からは、纐纈厚(抑止論ではなく一方的非武装論を)、竹信三恵子(9条は「明日の米」をどうしてくれる。グリーンニューディールなど新たな経済の提案を)、前田朗(人として認められる権利が「世界人権宣言」)と。Zoomで山城博治(台湾有事を想定した現状は沖縄を戦争に巻き込む。県民は恐怖を感じている。「沖縄を再び戦場にしない会」を立ち上げる)、伊藤誠(競争ではない社会。アメリカでのバーニー・サンダース政策の若者の支持、女性の動きについて)さんからの発言があった。
休憩後は、田中宏、羽馬久美子、鈴井孝雄、高梨晃啓、大類善啓、吉田明さんが発言した。最後の時間帯では会場参加者6人から発言をいただいた。
約20人の方々からの発言では「言葉が大事だ。維新の『身を切る改革』とか、戦争時の『欲しがりません、勝つまでは』、雨宮処凛さんの『生きさせろ』など人々の心をつかむ言葉だ。コンペで広く募集したらどうか」が、具体的な宿題となった。なお、27,080円の会場カンパをいただいた。引き続き、財政的サポートもお願いしたい。(S)